006

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「きわ」を変奏してみる。「きわ・際」という言葉(音)と文字(かたち)を転がしてみる。

 はし、は、はて、はてる、 きわ、きわまる、きわみ、かぎり、かぎる、かたわら、あいま、かた、わき、ほとり、きし、あたり、そば

 端・はし・はて、果て・涯・はて、際・極・きわ、限・かぎり、境・さかい、傍ら・片端ら・かたわら、合間・あいま、間・ま、あいだ、あい、片・辺・方・かた・へり、脇・腋・わき、傍・わき・かたわら、辺・あたり・ほとり・さかい・はて

「きわ」が何かと何かが出会ったり接する場であるとすれば、その場合の二つの「何か」とは、一方が「こちら」であり、もう一方がその「こちら」から見た光景だという気が私にはする。俯瞰ではなく、あくまでも一方的で一方向的な眺めなのだ。

 慣れ親しんだ「こちら」から「かなた・むこう」を眺める。「こちら」とは視界の反対側にあって、「こちら」とは意識されていない「こちら」。そこから、何か、どこか、誰かを眺めている。その眺めは刻々と移り変わる。

 うつりかわる、移り変わる、映り変わる、写り変わる。

 きわにいるというのは、劇場の最前列の席に縛りつけられてスクリーンを眺めているのに似ている。寝入り際や死に際のイメージ。

 いまわ・今わ・今際

 気になる「わ」を辞書(広辞苑)で調べて、気になる部分を抜きだしてみる。そこで出会って、こちらにふれてきたものを抜きだしてみる。そして、こちらも、ともにふれてみる。触れる、振れる、震れる、狂れる。

 わ、曲・回、輪・環、和、話、我・吾

 きわでであってふれてみる。

 うつりかわるけしきをあれよあれよとながめる。

 きわでであってふれあうのは、かげとかげ。スクリーンにうつるかげのうつろい。夢とおなじくその眺めを受け入れるしかない。うんうんとうなずくだけ。