小話

視覚は体感を裏切り、裏切るという形で体を導いている

パソコンではマウスやフラットポイントを手や指や腕をつかって動かし、スマホでは指を画面にすべらせる。基本的には円を描く動きが多い気がします。というか、指を走らせて何かをえんえんと回しているのです。 ゲームでは指でコントローラーをいじっているよ…

有名は有数、無名は無数

”水が来た。” 「これは森鴎外作『寒山拾得』から引用したもので、三島由紀夫の『文章読本』で激賞されている文なんだ」 「そうかそうか、さすがに名文だね。短いけど、すごい。なんというか、こう、気品が漂ってくるのよね」、「やっぱりね。違いますよ。短…

「AとB」での主役は「と」なのです

「AとB」と書いてあると、AとBのあいだに何らかの関係を見てしまいます。さもなければ、「と」で結ばれているはずがない気がするからでしょう。 ロミオとジュリエット、ピンクとグレー、『男と女』(Un homme et une femme)、女と男、Ebony and Ivory、…

【小話】ごみは名詞に似ている

自然界には名詞に相当するものがありません。これを実感するためには「ごみ」という名詞について考えるといいと思います。ごみは人工物だという考え方がありますが、名詞も人工物にほかならないからです。 朝配達されたものは新聞、読み終わると新聞紙。新聞…