007
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「きわ」を変奏してみる。
ふち、ふちっこ、崖っぷち
「ふち」を変奏してみる。
A:辞書(広辞苑)で「ふち・縁」の語義を見ると次の言葉が見える。
はし、へり、まわりのわく。
B:漢和辞典(漢字源・学研)で「縁」を調べると、次の言葉と文字が見える。
ふち、へり、よる、よって、えにし、えん
辺、辺縁(へり)、てづる、つながり、因縁、えんがわ
C:「ふち・縁」を「きわ・際」と変装したうえで、連想によってさらに変奏すると次の言葉と文字が浮んでくる。
はし、は、はて、はてる、 きわ、きわまる、きわみ、かぎり、かぎる、かたわら、あいま、かた、わき、ほとり、きし、あたり、そば
端・はし・はて、果て・涯・はて、際・極・きわ、限・かぎり、境・さかい、傍ら・片端ら・かたわら、合間・あいま、間・ま、あいだ、あい、片・辺・方・かた・へり、脇・腋・わき、傍・わき・かたわら、辺・あたり・ほとり・さかい・はて
D:辞書(広辞苑)で「ふち」と読む語を見ると、次の文字が見える。
淵・潭、斑・駁、縁
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変奏して並べられた以上の言葉や文字のかずかずを見ていると、
1)いわゆる同源、
2)音が同じであったり似ているもの、
3)いわば類義語、
4)私の個人的な印象で「同じ」とか「似ている」と感じられるもの(真偽、正誤、虚実、または同源かどうかにはこだわらない)、
というふうにわけることができる気がする。
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私は「きわ・際」という言葉と文字を眺めていると、次のようなイメージ(印象)をいだく。
寝入り際に(おそらく死に際にも)出会って触れあうのは、影と影。自分にしか見えないスクリーンにうつる影のうつろい。
「えん・縁」で浮ぶのは、次のようなフレーズ。
奥に引っ込んでいたり、ど真ん中にいては出会いはない。外にむかい、ふちとへりによることによって、新たなえにしが生じる。
「ふち・縁」という言葉と文字を眺めていると、次のようなイメージが浮ぶ。
崖っぷちに震えながら立ちすくみ、暗くて深い淵をそっとのぞきこむ。