エッセイ

反意語の同意語は同意語ではないか

「SとM」と書くと両者のあいだに反対の関係を見ることが多いように、「AとB」というぐあいに「と」でつながれたもの同士を反意語や対立関係にあるとみなすのが一種の紋切り型になっている気がします。 「と」をめぐっての、この辺の話は、蓮實重彦先生経…

敬体小説を求めて

敬体と常体 『日の名残り』 『わたしを離さないで』 『痴人の愛』 敬体で書かれた小説についてのメモ 敬体と常体 あれは「です・ます調」で書かれていた、とはっきり記憶している小説があります。童話や昔話を除いての話です。どんな文体だったかを覚えてい…

影に先立つ【引用の織物】

ガラスの内には典雅なニス塗りの、棺が飾られて、これも朝日を浴びていた。店の奥にはさらにいくつかの棺が、すこしずつ意匠を異にするようで、壁や椅子にやすらかに立てかけられ、楽器のようにも見えた。(古井由吉作「物に立たれて」(『仮往生伝試文』所…

「この詩は、まちがっています」

間違っていますか? 種明かし 敬体、常体、口語体、文語体 谷崎潤一郎作『痴人の愛』、江戸川乱歩作『鏡地獄』 間違っていますか? 灰谷健次郎の小説に『日曜日の反逆』という短編があります。 国道で「ヒッチハイクの合図」をしていた少年を、男は車で目的…

ガラスをめぐる連想と思い出

簡単に言うと、「Aだから、Bだから、Cだから、Dだから……」という論理っぽいつながりではなく、また「Aして、次にBして、それでもってCして、それからDして……」という物語っぽい流れでもなく、「Aといえば、Bといえば、Cといえば、Dといえば……」…

人に動物を感じるとき

動物、生物、宇宙人 知覚、五感、距離 痛みを推しはかる 身びいき、擬人 作意、作為 意識的な擬人、無意識の擬人、深層的な擬人 鏡の中の話だと意識する、意識しない ひと休み 恥ずかしさ プライベートな行為、プライベートな仕草 においを嗅ぐ、鏡を覗きこ…

【エッセイ】ごみと意味は似ている

ごみは人工物 出す、残す 逸脱と無駄 ごみと意味は似ている 新聞、新聞紙、古新聞 何と呼ばれるかは時と場合と人による 名詞の本質 意味とごみは似ている 何に貼っているのか分からない ごみ学 ごみは人工物 ごみとは人工物であり、ごみは人にとってごみとし…